
地下鉄に乗ってやれやれと腰をかけたら前の座席に中学生らしき2人がいた。
一人は骨雄君でもう一人はデブ太君。
骨雄君はカバンから弁当の包みを取り出しデブ太君に勧めている。
どうやら、おやつを食べたので満腹だからひとつ食ってくれないかと言っているらしい。
食べないで持ち帰ると母親から叱られるのかもしれない。
デブ太君はちょうどお腹が空いたことだし、これはありがたいといった感じだ。
早速卵焼きをひとつ頬張る。
ふわっとした食感と油の風味、そして少し甘い味に口の中は一気に涎があふれ出てくる。
ご満悦の顔である。
続いて今度はおにぎりをひとつ摘む。
ところが、そのおにぎりにもうひとつの卵焼きが張り付いていた。
卵焼きはあっという間に落ちてしまい哀れにも電車の床に張り付いてしまった。
あわてたのはデブ太君。
すかさず卵焼きを拾い上げると目を白黒させている。
思わず骨雄君に言った言葉は「食べる」?
もちろん骨雄君は食べる訳がない。
骨雄君はそこで一言。
「3秒たってないからまだ大丈夫。食っちまいな」
すでに頭の中は真っ白なデブ太君は言われるままに拾った卵焼きを口に放り込んだ。
その顔は複雑である。
「うまい」「せっかくの物を落として悪いことをしてしまった」「落ちた物を食っているが本当に大丈夫」そんな言葉がうずまいているのがよくわかる。
それからしばらくて二人は顔を見合わせてくすくす笑いだした。
一部始終を見た私も「落ちたものを食いやがった」という言葉が渦巻きおかしくてならず思わずへらへら笑ってしまった。
二人も目の前の大人に笑われたことが更に可笑しさを増しケラケラ大笑いとなった。
ああ、腹が減った。
吉牛でも食う事にしよう。
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