シロン君は胃が弱い。
なにしろ芸術家だから職業病のようなものである。
だからシロンばかり飲んでいるのでシロン君である。
シロンはパンシロンの姉妹品である。
パンが付かないだけに地味だがなにより安いので愛用者は案外多いのかもしれない。
最近では胃痛にはH2ブロッカーがよく効く。
けれどもやっぱりシロン君はシロンを愛用している。
おそらく彼にとってシロンは生活の一部なのだろう。
そんなシロン君とその奥方で近くの森林公園を散歩した。
シロン君と奥方は正式に結婚をしてない。
けれども一般の夫婦よりも仲がよろしい。
仲はよいが子供はいない。
どうやら訳ありらしいがその訳は誰も知らない。
名月君はいつも訳を聞きたがるが、シロン君は苦笑いするばかりで決して秘密を明かさない。
シロン君の奥方は牛乳のような色白で瞳の大きい美人である。
今日は髪を上げているので首筋がなんとも色気を醸し出している。
思わず引きつけられてしまいそうである。
三人は赤や黄色に敷き詰められた落ち葉の上を歩きながら落ち葉の匂いを楽しんだ。
「この公園には青ゲラがいるんだ」
シロン君がそう言うと、案外キツツキは身近にいるものですねと奥方が答える。
今日は一段と空が青いね。と小生が全く関係ないことを言うと
「青ゲラの青は空の青ぢゃない。淡い緑の模様があるのさ」
シロン君がそう言うと、奥方は頭には赤い模様があるのと私に教えたくれた。
霜月の木漏れ日は柔らかい。
裏寂しくなるヒヨドリの声に鈴なりの柿がよく似合う。
時計の針が殊の外ゆっくり動いているようである。
小春日和の晩秋の一時はシロン君と奥方を一枚の絵に閉じ込めたかのようである。
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気の置けない友人と会話も進み、楽しい一時が過ぎる。
そんな時熱いお茶が有り難い。
更に甘いものがあれば更に会話も弾むことであろう。
仕事が一段落したとき、一杯のお茶と甘い物も嬉しいものである。
紳士にとって甘い物といえば羊羹、最中、かりんとうと相場は決まっている。
高級な菓子を特別に取り寄せてみるのも贅沢な楽しみである。 |
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