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シロン君との再会

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シロン君とこうして紅茶を飲んだのは随分久しぶりだった。
寒い頃、癌だと聞かされてそれ以来見舞いにも行かないままシロン君は元気になったと言って退院してきた。

それでもゆっくり再会したのはこの時なのだから、小生は友人としても随分薄情な人間に成り下がったものである。

病院での退屈な時間を暫く話した後シロン君は空を見ながらこんな話を始めた。

「実は入院中に素敵な女性と出会ってね」

シロン君といえば美人の奥方が居る。正式に結婚はしていないものの誰もが羨む仲なのである。そんなシロン君が他の女性に心変わりするとはにわかには信じがたいことである。

「僕はね。そんなに長くは生きていられないと思うのです。そして知り合った女性も実は長くはないという。神はなんて愚かなお遊びをするのだろうか。先の長くない二人に恋愛をさせていったいどういうつもりなのか。そんな風に僕の理性は言うのです。けれども僕の感情は、どうしても抑えられないのです」

そんな風に言うとシロン君は照れくさそうに笑ってみせる。
いつまでも子どものような表情を残した男である。

「君は詩を書かないからわからないかもしれないが、恋愛する心がなくなったら芸術家はもう駄目なのです。僕なんぞはもう死にかけているのにやっぱり恋愛して詩を残そうとしている。まったくもって困ったものです」

困るのは奥方の方であろうと美人の奥方を気遣うとシロン君も困惑して言った。

「確かにそうなのです。彼女は僕にとって欠かせない女性だ。僕も彼女を最後まで大事にするつもりでいた。でもね、病院で知り合った女も僕には欠かせない女性なんです」

それは男のエゴで女性には通用しないのだからいい加減に頭を冷やすに限ると、せめても友人としての忠告をした。

シロン君はありがとうと言ってそのまま帰って行った。

それから数日後のことである。
シロン君の奥方から知らせがあった。

それは、シロン君が或る女性と自殺したという内容であった。


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