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    <title>武蔵野日記</title>
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    <title>行き倒れを見て</title>
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    <published>2011-09-04T02:04:09Z</published>
    <updated>2011-09-04T02:06:03Z</updated>

    <summary>先日池袋の駅からサンシャインに向かって歩いていたら人が倒れていた。 ５０台後半か...</summary>
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        <![CDATA[<p><span class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img alt="ikebukuro.jpg" src="http://www.studiom-web.net/goods/ikebukuro.jpg" width="380" height="297" class="mt-image-none" style="" /></span>先日池袋の駅からサンシャインに向かって歩いていたら人が倒れていた。<br />
５０台後半から６０位の男で、これはホームレスかもしれないなと確信した。<br />
ホームレスには見えるがまだ新入りのようで、黒光りのする筋金入りの連中とはまた様子が違う。<br />
ボロは着ているがまだ当たり前の生活に未練を残したままでいるようでもある。<br />
およそ、その未練が祟ったのかもしれない。</p>

<p>デパートのショーウインドウの前でひっくり返って痙攣している。<br />
こんな痙攣のしかたは全く漫画かドリフターズのコントそのものである。<br />
本当にああなるものだなと感心したほどだ。</p>

<p>実は目撃した時はもうすでに男のところに巡査がやってきており、<br />
お前は一体何者かとしきりに尋ねていた。<br />
お前は一体誰だと言われてみても、痙攣するほどである。<br />
私は実は、かくかくしかじか、こういう者でどういう訳か気分が悪くなってこうやって震えているのだ。<br />
などと威張って言えるものでもあるまい。<br />
なんとつまらん愚問を投げかけているのであろうか。<br />
そんな暇があるなら例の高電圧発生装置でも取り出してきて<br />
ニューハートの医者のごとく、周囲の人に「離れて」と言いながら<br />
ビリビリやった方が余っ程いいに決まっている。<br />
そう思いながらその場を立ち去った。</p>

<p>立ち去ったもののその男の痙攣する姿がどうも残ってしまって後始末のしようがない。<br />
少し休もうと思って近くのコーヒーショップに逃げ込むことにした。</p>

<p>アイスクリームを頼むと、愛想のない店員が面倒くさそうに水を置いていった。<br />
暫くするとガラスの器に丸いヤッコ豆腐ほどもあるアイスクリームが出された。<br />
そのてっぺんにはレーズンが無愛想におかれている。<br />
蠅でも留まっているのかと思わせる飾りである。<br />
それでも仕方なく食べてみると案外美味いものだった。<br />
そして半分も食べると流石に頭が冴えたきた。<br />
少し気分もよくなったところで冷静に考えてみた。</p>

<p>先ほどの巡査も実はもうこれは駄目だなと判断したに違いない。<br />
そうして、せめてその亡骸を引き取る相手の糸口を見つけたかったのかもしれない。<br />
そう考えると随分手際の良い対応にも思えた。<br />
きっと東京ではこんなことが当たり前に起こっているに違いない。<br />
そんな風だから別段に巡査が優れている訳でも劣っている訳でもないのである。<br />
いつもそうしているから、そうしていたのかもしれない。</p>

<p>一昔前だったらこういう光景を見たなら、ああは成りたくないものだと思ったに違いない。<br />
けれども、今はそう簡単に割り切れない。<br />
数ヶ月後には路頭に迷って街中を彷徨いながら<br />
同じように倒れているかもしれない。</p>

<p>デパートの前に来たら突然頭の中がぐるぐる回り出して倒れてしまう。<br />
そうして気づいたらやっぱり巡査が居てお前は一体何者だと尋ねられているかもしれない。<br />
そうこうしている中にとうとう死んでしまう。<br />
そんなことがあっても全く不思議ではない。</p>

<p>街中で誰に看取られるわけでもなくボロのようになって死ぬ恐怖。</p>

<p>しかし、死というものに方法などない。<br />
死ぬ時はいつでも孤独に死ななければならない。<br />
街中で巡査にお前は何者かと言われながら死ぬのも、<br />
大勢の親族や仲間に囲まれて死ぬのも同じである。<br />
あるいはかえって病苦に苦しみ続けて死ぬより余っ程気楽かもしれない。</p>

<p>人生の目的とか難しい顔をして考えてみてもどうせ碌なアイデアも出てきやしない。</p>

<p>我々の人生の行き着く先は死である。<br />
母親の子宮からポンと生まれ落ちたときから、死というゴールに向かって歩き続けているだけである。</p>

<p>どんなに早く走ってみても、どんなに逃げ惑ってみても、どんなに学問をしても<br />
どんなに人を欺いても、そしてどんなに立派なことをしてみせても効果はない。</p>

<p>一歩一歩物理学の法則に従って死に近づいているだけである。</p>

<p>ゴールが死なら死ぬまでの間にせいぜいやりたいことをやっておくことであろう。</p>

<p>あるいは天然自然の法則が考え出した最も優れた延命方法、<br />
自分の遺伝子を残すことである。<br />
せめて遺伝子だけでも生き伸びさせるためにも子づくりは案外大切なことなのかもしれない。</p>

<p>色々難しいことをいうよりも、体の指示に従って勝手に異性に惚れて、<br />
また勝手に体の指示に従って肉体関係を持つ。<br />
そうすると勝手に子どもが出来てくるようになっている。<br />
特段学問など必要もない。<br />
これくらいのことなら学校で鼻糞をほじくっていてもなんとかなるだろう。<br />
子どもができればなんだか可愛くなるだろうし、<br />
怠け者の庄助さんだってその子のために働く気分にもなるかもしれない。</p>

<p>子作りするだけで、遺伝子を生き伸びさせることができるのであるから、<br />
本能に従っているのが案外気楽なようである。<br />
そうして、これが一番幸せで全うな生き方なのかもしれない。<br />
</p>]]>
        
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    <title>ゲーム理論とチョコケーキ戦争</title>
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    <published>2011-09-03T04:53:29Z</published>
    <updated>2011-09-03T04:55:11Z</updated>

    <summary> ある知り合いの婆さんからケーキを貰ってきた。 チョコレートで包まれたもので天辺...</summary>
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        <![CDATA[<p><span class="mt-enclosure mt-enclosure-image" style="display: inline;"><img alt="sy_040.jpg" src="http://www.studiom-web.net/goods/sy_040.jpg" width="600" height="450" class="mt-image-none" style="" /></span><br />
ある知り合いの婆さんからケーキを貰ってきた。<br />
チョコレートで包まれたもので天辺に気取った砂糖菓子がひとつ清まして置いてある。<br />
銀紙に丁寧に包まれたチョコレートケーキは実に気品に満ちている。<br />
しかし、困ったのはたったの一つしかないという事だ。<br />
 <br />
なにしろアライグマもケーキには目がない。<br />
一体全体どうしたものかと思案したあげくに、ここはひとつゲーム理論に従って<br />
半分づつ切り分けて戴くことにした。<br />
 <br />
切り分けるのはアライグマが担当である。<br />
選ぶのは自分の役目である。<br />
ゲームの理論に従えば自分は少しでも大きい方を取ろうとする。<br />
そうなるとアライグマの取り分は減る訳だから奴は出来るだけ等分に切り分けるように努力する。<br />
結果ケーキは限りなく等分に分けられ仲違いなど起こらぬとい大層な理屈である。<br />
 <br />
ところがアライグマはどういう了見かなんの考えもなく適当に切ってみせる。<br />
しかも大きい方に砂糖菓子が清ましている。<br />
 <br />
こうなったら大きい方を取りたくなるのが人情というものである。<br />
すかさず大きいケーキを奪い取ったらアライグマは散々文句を言い始めた。<br />
 <br />
大体、あなたは思いやりというものが微塵も持たない冷酷な人間だとか、<br />
いつもぼんやりとして鼻毛ばかり抜くものだから掃除が大変だとか、<br />
こんなに貧乏をさせられても耐えてみせているのにだとか言う。<br />
そして、仕舞いには涙をポロポロ流し始める。<br />
 <br />
そうまでチョコレートケーキに未練を持たれては適わない。<br />
仕方ないので砂糖菓子をツイと取り上げて下のケーキを入れ替えてやった。<br />
これで文句あるまいと威張ると、<br />
その砂糖菓子が欲しいのだとやっぱり泣く。<br />
 <br />
とうとう砂糖菓子まで取られてしまった。<br />
 <br />
一体全体何がゲーム理論だ。<br />
まんまとしてやられたではないか。<br />
こんなことだからいつまでたっても人類は戦争を止められないのだと心底思った次第である。<br />
</p>]]>
        
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    <title>最近細君の事を疑っている。</title>
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    <published>2011-08-07T00:06:39Z</published>
    <updated>2011-09-03T03:38:45Z</updated>

    <summary>最近細君の事を疑っている。 実はアライグマの化身ではないかと思っている。 だから...</summary>
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    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="http://www.studiom-web.net/goods/">
        <![CDATA[<p>最近細君の事を疑っている。<br />
実はアライグマの化身ではないかと思っている。</p>

<p>だから細君のことをこっそりとアライグマと呼んでいる。<br />
疑う理由その１<br />
なんでも洗う。かっぱえびせんの袋も、牛乳パックも、シロクマアイスのカップも、玉子も、新品の服も、革靴も・・・。すべて洗ってから開封するからだ。<br />
疑う理由その２<br />
試しに肋骨の本数を数えたら片側１２本もあった。<br />
疑う理由その３<br />
今時携帯電話の使い方がわからない。<br />
疑う理由その４<br />
自動販売機のカップ入りのコーヒーの購入方法を真面目に聞いてきたから。<br />
疑う理由その５<br />
病気をしても３日寝込めば完治する恐ろしいほどの治癒力。医者いらずだ。<br />
疑う理由その６<br />
めずらしい野鳥を発見することが異常に早い。<br />
疑う理由その７<br />
蝉を素手で取ってきて「ほれっ」と言って見せる事。バルタン星人のような蝉がギギギというのが不気味だった。</p>

<p>昔アライグマを助けた覚えは無いのだが・・・<br />
</p>]]>
        
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    <title>牛鍋を突きながら</title>
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    <published>2011-07-26T23:41:52Z</published>
    <updated>2011-09-03T03:36:19Z</updated>

    <summary>グツグツ煮える鍋から醤油の匂いが立ち上がる。 牛鍋といっても牛などわずかでこんに...</summary>
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        <![CDATA[<p>グツグツ煮える鍋から醤油の匂いが立ち上がる。<br />
牛鍋といっても牛などわずかでこんにゃくばかりである。</p>

<p>久々に集まった退屈な連中は牛鍋をつつきながらどうでも良い事を喋っている。</p>

<p>名月君はこんにゃくを摘みながら言った。<br />
「放射能汚染で和牛が安く買えるというから近くのスーパーに行ってみたらとても買えるような値段ではなかった。この鍋も海外のすね肉ばかりだ。一体全体我々下層に位置する人間にとって和牛がどうなろうとあんまり関係ない。ところがその和牛を国が買い上げて税金に転嫁するというのだから嫌になってしまう。しかも消費税にだぜ。われわれの手にすることのできない高級品を援助するために税金を払うのはおかしいとは思わないか」<br />
名月君はようやく肉を見つけて食っても固くて食えやしないとぶつぶつ続けた。</p>

<p>キュウリ魚君はクイと酒を飲んでこう言った。<br />
「まあ、それでも畜産業者は放射能の被害者だしね」<br />
そうするとエイのひれ君が応えた。<br />
「災害はいつ、どんな形でやってくるかわからないものさ。僕なんぞは竹中の政策でこの場所に追い落とされた一人だし、ヨネキンだって代々受け継いだ店を大型スーパーの出店で閉めざるを得なかった。その大型スーパーも倒産して街自体ゴーストタウン化している。まったく津波ならあきらめもつくかもしれないがね。ヨネキンは誰からも援助されることもなくあわれに死んでいった」<br />
ヨネキンは米沢さんのことで金玉がひとつしかないのでヨネキンと呼ばれていた。</p>

<p>牛鍋は貧乏人達をあざ笑うようにグツグツいいながら煮えたぎっている。</p>]]>
        
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    <title>あまりに無力な</title>
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    <published>2011-04-02T09:28:32Z</published>
    <updated>2011-09-03T03:38:13Z</updated>

    <summary>福島の原発事故は一向に収まる気配がない。 名月君はちびちび酒を飲みながら言う。 ...</summary>
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        <![CDATA[<p>福島の原発事故は一向に収まる気配がない。</p>

<p>名月君はちびちび酒を飲みながら言う。<br />
「まったくもって神の領域の火を使いながら、その消し方も心得ておらずにおろおろするばかりだな。<br />
これでは技術先進国の名が廃るってもんだ。<br />
大体だね、原子力なんて最新のテクノロジーだぜ。<br />
ところがやっている事はというとまるで飯事だ。<br />
ホースで水をかけて、水が溜まったので今度は一生懸命かき出すばかりだ。<br />
それも全部人海戦術だから驚く。<br />
こんな幼稚なことしかできないくせに、一体よくもまあ、神の領域の火に手をつけたものだ」</p>

<p>海の藻屑君も同調して続けた。<br />
「海外に助けてと言ったり、ロボットを提供してもらったり。<br />
ええ、ここまできて見栄など張っている場合じゃあない。<br />
でもね、僕などは日本はロボット先進国だとつい先頃まで信じて疑わなかったものですよ。一体何が先進だったのだろうか。使えるものは何もありゃしない。<br />
あの２足歩行する、なんとかいうロボットなど一体何のために作ったのだろうか」</p>

<p>エイのひれ君はいい加減に酒が回ってしまって顔がトマトのように赤い。<br />
気の毒なほど顔を赤くしたエイのひれ君は少し苦しそうに言った。<br />
「天然自然の力には遠く及ばないということですよ。<br />
人間はもっと本来の姿に戻らなければならないという警鐘です」</p>

<p>「そうかもしれないが、天然自然の怒りはあまりに無差別だね」<br />
澄まし顔で名月君はキンカン坊主に向かって言った。<br />
「こんなときでも竹中なんぞは平然としてTPPに対応できる新しい農業政策をなどと言っていた。こんな奴こそ津波に飲まれて欲しいものだ」<br />
エイのひれ君は竹中嫌いだからそんなことを言った。そして「えいくそ！」と怒鳴ったなり寝込んでしまった。</p>

<p>いつの間にか世の中の底辺に追いやられ、それでも故郷を愛し、さんざんいいように使われてもやっぱり人間を愛し続ける。<br />
こうやって放射線を浴びた料理をつまみながら役にたたないことばかり言っては、怒り、悲しみ、そして失笑するよりほかには見当たらなかった。</p>

<p>かつて二日酔いになった猫も、放射性物質入りの水を飲まされながらも案外臆する事もなくただ毎日を彼なりに一生懸命生きているようである。</p>

<p><br />
</p>]]>
        
    </content>
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    <title>花見どころでは</title>
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    <published>2011-03-27T05:13:13Z</published>
    <updated>2011-09-03T03:35:45Z</updated>

    <summary>今頃は本来なら花見で飲んだくれているところだが、流石の飲んべえ達も大震災のあとに...</summary>
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    <category term="放射能" label="放射能" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
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        <![CDATA[<p>今頃は本来なら花見で飲んだくれているところだが、流石の飲んべえ達も大震災のあとにはなす術が無い。<br />
仕方ないのでキンカン坊主のアパートに集まってやっぱり酒を飲んでいる。<br />
放射能を浴びたかもしれない野菜をどこからか安く手に入れて、安い肉と煮込んだものを喰いながらどうでもいい事を話していたらキュウリ魚君が急に真面目になって言った。<br />
「昨日電車に乗ったら二十歳くらいの男が目の前に座ったのです。彼は座るなりおもむろにパンを喰い始めた。そうしてこの次にはペットボトルの水をゴクゴク飲むのです」</p>

<p>キュウリ魚君の顔は険しい。</p>

<p>「放射能の影響で乳児用のペットボトルの水が無いと騒いでいるときにですよ。第一あの図体なら蹴飛ばしても平気な若者がなんでわざわざペットボトルの水を手に入れて飲んでいるのか、考えただけでも腹がたってきました」</p>

<p>「まったくもってそうだ」</p>

<p>今度は海の藻くず君が怒りだした。</p>

<p>「今日テレビで水道の水は安全だと言う学者にペットの水はどうしたらいいのかと問いただす、若手芸人がいた。まったくもって悲しくなってしまった。<br />
彼らはいかにも神妙な顔で被災者に呼びかけをしたりするけれど、けっきょくはその程度なんだよ」</p>

<p>「確かにそうだね。川島なお美のブログには犬用の水の心配がつづられている。<br />
一生懸命働いて生きていかねばならない平民の未来ある命は彼女達のペットにも劣る訳だ。きっと多くの水をペット様のために買いあさっていることだろうよ」<br />
名月君はいつか二日酔いにさせた猫に水道水を舐めさながら言った。</p>

<p>二日酔いになった猫もどうやら名月君と和解したらしく、水を飲み終わると名月君の足に寄り添ってニャーと言ってみせる。</p>

<p>「どうしてこうも世の中無情なのですか」<br />
キュウリ魚君が言うとキンカン坊主は知るもんかと、およそ坊主らしからぬことを言って小便に立った。</p>

<p><br />
</p>]]>
        
    </content>
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    <title>シロン君の手紙</title>
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    <published>2010-09-23T10:14:27Z</published>
    <updated>2011-09-03T03:35:14Z</updated>

    <summary>死んだはずのシロン君から手紙が届いたから驚いた。 手紙にはこんな内容が書かれてい...</summary>
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    <category term="シロン" label="シロン" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="恋愛" label="恋愛" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
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        <![CDATA[<p>死んだはずのシロン君から手紙が届いたから驚いた。<br />
手紙にはこんな内容が書かれていた。</p>

<p><br />
僕が死んだことで君達は随分驚いた事だろうと思う。<br />
しかし、そんなに驚くことはない。<br />
僕は近々死ぬのだから、ちょっとばかりそれが早まったばかりだ。<br />
だから、とうとう死んだと思ってくれればよいだろう。</p>

<p>けれどもその経緯は説明しておく必要がありそうだ。<br />
なぜなら、家内に詫びなければならないからだ。<br />
僕は本当に身勝手な男だ。<br />
そして家内には詫びても詫びても詫びきれない思いがある。<br />
どうか、君達皆で家内を助けてやってほしい。<br />
勝手なお願いであるが、なんとか頼む。</p>

<p>僕はあの女と恋愛をした。<br />
恋愛をするのに理由など必要ないものであることは君達だって知ってのとおりだ。</p>

<p>あの女はいつか僕にこう言った。<br />
「私もうじき死にます。あなたいっしょに死んでもらえますか」<br />
そう言った女は実に美しかった。<br />
少しはにかみながらもじっと見つめる目には涙が溜まっていた。<br />
僕はあるいはその美しさと心中を決めたのかもしれない。</p>

<p>僕はじき死ぬ身だし、<br />
一層のことならこの美しさと心中したいと思った。<br />
恋愛の美しい瞬間を僕は永遠にすることを決めたわけだ。</p>

<p>勿論家内のことは十分考えた末のことだ。<br />
家内とは生きるための連れ合いだった。<br />
けれども今度の女とは永遠の恋愛だったのかもしれない。<br />
命がけの恋愛というものは<br />
想像以上に美しいものだった。</p>

<p>馬鹿な男だと責めないで欲しい。<br />
そういう生き方しかできなかった男をただ哀れんでくれたまえ。<br />
家内のことは本当に頼んだからよろしくお願いする。</p>

<p>それでは達者で。</p>

<p><br />
</p>]]>
        
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    <title>滑稽な国家〜日本</title>
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    <published>2010-08-25T09:40:21Z</published>
    <updated>2011-09-03T03:34:39Z</updated>

    <summary>僕はですね。日本といえば世界でも立派な文明国家だと信じていたんです。 海の藻屑君...</summary>
    <author>
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    </author>
    
        <category term="武蔵野日記" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="江戸時代生まれ" label="江戸時代生まれ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
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        <![CDATA[<p>僕はですね。日本といえば世界でも立派な文明国家だと信じていたんです。<br />
海の藻屑君が悲しい顔をして言った。</p>

<p>ところがですね。<br />
日本を代表する大新聞にこんな見出しが躍るとは正に狐に摘まれたようです。</p>

<p>「大阪市の最高齢１５２歳　戸籍上１２０歳以上５１２５人」<br />
「今度は文久元年生まれ１４９歳・・・」</p>

<p>江戸時代生まれの人がまだ生きているというのでしょうか。<br />
しかも１２０歳以上がなんと五千人も大阪市に住んでいるなんて。</p>

<p>そんなふざけた内容が記事になるなんてもう信じられないです。</p>

<p>「日本ってこんなにふざけた国だったのでしょうか。<br />
なんだかむなしくなってしまいます」</p>

<p>海の藻屑君の言葉に名月君が言った。<br />
「世直しが必要だね。駄目だ駄目だ。どうしてこんな世の中になってしまったのであろうか」<br />
そう言いながら猫に氷をひとつ与えると、<br />
猫がニャーと鳴いて氷にじゃれつき始めた。</p>

<p><br />
</p>]]>
        
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    <title>かき氷</title>
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    <published>2010-08-24T01:06:55Z</published>
    <updated>2011-09-03T03:34:02Z</updated>

    <summary>キンカン坊主のアパートは猛烈に暑い。 エアコンはほとんど壊れているから役にたたな...</summary>
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        <![CDATA[<p>キンカン坊主のアパートは猛烈に暑い。<br />
エアコンはほとんど壊れているから役にたたないのである。<br />
埃だらけの扇風機をフル回転させながら暑い、暑いと言う。<br />
そんな風だから夏場はあまり行きたくない所なのである。</p>

<p>ところが突然のシロン君の他界の事もあり皆で集まった次第である。<br />
名月君は暑いと言って腹を立てて、猫に八つ当たりする。<br />
キュウリ魚君が制止するが、名月君はやっぱり腹を立てて猫にあたる。</p>

<p>流石にこれでは身が持たないとキンカン坊主がかき氷をごちそうすることになった。<br />
昔どこの家庭にもあったいい加減な手動のかき氷機でかき氷を作るものだから、<br />
すぐに溶け出してべちゃべちゃのかき氷である。<br />
それでもこの暑さの中では有り難い。<br />
いかにも人工的な赤い蜜の味に満面の笑みを浮かべながら喰う。</p>

<p>炎天下の冷房のきかない部屋で、人様の役にはたってないに違いない男達が集まり故人を偲んでいる。<br />
暑い、暑いと言いながらも、何の徳にもならない事を話ながらもやっぱり集まる。<br />
常日頃は全く持って薄情な連中ではあるがやっぱりシロン君を偲ばずにはおれなかったのである。</p>

<p><br />
</p>]]>
        
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    <title>シロン君との再会</title>
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    <published>2010-08-20T11:55:13Z</published>
    <updated>2011-09-03T03:33:26Z</updated>

    <summary>シロン君とこうして紅茶を飲んだのは随分久しぶりだった。 寒い頃、癌だと聞かされて...</summary>
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    <category term="癌" label="癌" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
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        <![CDATA[<p>シロン君とこうして紅茶を飲んだのは随分久しぶりだった。<br />
寒い頃、癌だと聞かされてそれ以来見舞いにも行かないままシロン君は元気になったと言って退院してきた。</p>

<p>それでもゆっくり再会したのはこの時なのだから、小生は友人としても随分薄情な人間に成り下がったものである。</p>

<p>病院での退屈な時間を暫く話した後シロン君は空を見ながらこんな話を始めた。</p>

<p>「実は入院中に素敵な女性と出会ってね」</p>

<p>シロン君といえば美人の奥方が居る。正式に結婚はしていないものの誰もが羨む仲なのである。そんなシロン君が他の女性に心変わりするとはにわかには信じがたいことである。</p>

<p>「僕はね。そんなに長くは生きていられないと思うのです。そして知り合った女性も実は長くはないという。神はなんて愚かなお遊びをするのだろうか。先の長くない二人に恋愛をさせていったいどういうつもりなのか。そんな風に僕の理性は言うのです。けれども僕の感情は、どうしても抑えられないのです」</p>

<p>そんな風に言うとシロン君は照れくさそうに笑ってみせる。<br />
いつまでも子どものような表情を残した男である。</p>

<p>「君は詩を書かないからわからないかもしれないが、恋愛する心がなくなったら芸術家はもう駄目なのです。僕なんぞはもう死にかけているのにやっぱり恋愛して詩を残そうとしている。まったくもって困ったものです」</p>

<p>困るのは奥方の方であろうと美人の奥方を気遣うとシロン君も困惑して言った。</p>

<p>「確かにそうなのです。彼女は僕にとって欠かせない女性だ。僕も彼女を最後まで大事にするつもりでいた。でもね、病院で知り合った女も僕には欠かせない女性なんです」</p>

<p>それは男のエゴで女性には通用しないのだからいい加減に頭を冷やすに限ると、せめても友人としての忠告をした。</p>

<p>シロン君はありがとうと言ってそのまま帰って行った。</p>

<p>それから数日後のことである。<br />
シロン君の奥方から知らせがあった。</p>

<p>それは、シロン君が或る女性と自殺したという内容であった。</p>

<p><br />
</p>]]>
        
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    <title>何か様子がおかしいと思ったらお盆だった</title>
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    <published>2010-08-14T22:03:29Z</published>
    <updated>2011-09-03T03:32:55Z</updated>

    <summary>毎日ぼんやりとして鼻くそばかりほじくっていると、今日は一体何時なのか判らなくなる...</summary>
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    <category term="蝉" label="蝉" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
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        <![CDATA[<p>毎日ぼんやりとして鼻くそばかりほじくっていると、今日は一体何時なのか判らなくなるものである。</p>

<p>蝉の声を聴き、暑いと腹を立てながら蝉に石を投げつけるとおよそ1メートル程はずれた所に中る。それでも蝉は驚いて飛び出す。慌てて飛び出すと烏の餌食になる。<br />
どうやら烏どもは蝉に味を占めたようである。蝉を追いかけては喰っているのである。<br />
生きるのは退屈であるが大変なものである。<br />
そんな風に損にも得にもならない生き方をしていると今日が何時なのか判らなくなるのである。暑いから季節は夏であろう位のものなのである。</p>

<p>それでも、周りがあまりに静かである。一体どうしたのかと家内に聞くと盆だと言う。そうしてようやく盆であることに気付く始末である。寺を持たない糞坊主であるキンカン坊主も流石に忙しいらしい。名月君も音沙汰がない。あれで結構忙しい身のようである。キューウリ魚君は夏休みをとって故郷に帰っている。退屈な時の遊び友達もこの時ばかりは縁がない。</p>

<p>家内に急かされて仏壇に線香をあげる。<br />
適当な念仏をぶつぶつ唱えて、これで我が家の盆は終わりである。<br />
いい歳をしてみてもさらさら校歌を覚える気のない小学生のようなもので<br />
口をぱくぱくするばかりで何の意味もない。<br />
これでは先祖も気が休まらないことであろう。</p>

<p>そんな風に思うのも束の間で、<br />
暑いからとアイスキャンディーを頬張っている次第である。</p>]]>
        
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    <title>すき焼きを喰いながら</title>
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    <published>2010-06-04T12:06:44Z</published>
    <updated>2011-09-03T03:32:23Z</updated>

    <summary>久しぶりにキンカン坊主のアパートに集まってすき焼きと洒落込んだ。 いつか酔っぱら...</summary>
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        <![CDATA[<p>久しぶりにキンカン坊主のアパートに集まってすき焼きと洒落込んだ。<br />
いつか酔っぱらった猫も健在である。</p>

<p>猫は相変わらず名月君には近づかない。<br />
いくら獣であっても一度ひどい目に遭うと以降は十分慎重になるようである。</p>

<p>名月君はそんな猫の恨みを知ってか知らずにか、<br />
ねこじゃらしを使って見せるが猫は知らん顔である。</p>

<p>「鳩山政権も終わったね」<br />
キンカン坊主が言うと海の藻屑君は<br />
当たり前だと言う。<br />
何が当たり前なのかねと聞いてみると、約束したことが出来なければ嘘つきである。<br />
これでは丸っきり詐欺師だと言って怒る。怒ると藻屑の下が赤らんできて少々気味が悪い。</p>

<p>名月君はこの肉は和牛かねとキンカン坊主に問いただすと、<br />
キンカン坊主はアメリカンに決まっていると威張る。</p>

<p>和牛なんぞ高くて食えるものか。</p>

<p>一体全体こんな風に値段をつり上げるからあんな病気が広まってひどい目に会うってもんだ。名月君がそう言うと、キュウリ魚君は口蹄疫についてくどくどと学術的な説明を始めた。</p>

<p>エイのヒレ君はポンと玉子を割って器に落とし、肉をからめて喰う。<br />
「やあ、これはうまい」<br />
そう言うと猫も近づいてくる。<br />
そして一斉に皆の箸がすき焼き鍋を突き始めた。</p>

<p>部屋の中はすき焼きの匂い一色になった。</p>]]>
        
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    <title>花見の季節</title>
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    <published>2010-04-05T22:43:16Z</published>
    <updated>2011-09-03T03:31:52Z</updated>

    <summary>花見の席で名月君は赤鼻に言った。 「君ね、なんだその鞄は。一体全体紳士という物は...</summary>
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        <![CDATA[<p>花見の席で名月君は赤鼻に言った。<br />
「君ね、なんだその鞄は。一体全体紳士という物は持ち物には拘わらねばならん」<br />
そう言いながら団子を食う。<br />
赤鼻はそう言えば随分鞄を変えてないと人ごとのように応えながらやっぱり団子を食う。<br />
団子を食ったら蜜が服に流れ落ちたので慌てて拭き取っている。鞄の話どころではない。</p>

<p>メジロが桜の密を吸いにやって来てすっとんきょな顔をしてみせる。<br />
名月君の講釈に退屈してそんなメジロを楽しんでいると今度は海の藻屑君がこんな事を話し始めた。<br />
「桜の花って奴はどうして人の気持ちを揺り動かすのかね」<br />
キンカン坊主は甘酒を飲みながら落ち着いて答える。<br />
「なーにそれは桜に責任があるのではない。丁度年度の変わり目に咲くからだ。幼い頃から人の節目に咲いているのだから、桜を見るといろんな心持ちを思い出すからに違いない」<br />
「ぢゃあ、たんぽぽでも良い訳か」<br />
すかさず名月君が切り返すとキンカン坊主は笑いながら言った。<br />
「君ね。幼い頃にタンポポが季節の象徴として教えられたかね。いつでも桜があったのではないかね」</p>

<p>どうでもいいような事をあーでもない、こーでもないと講釈が続いた。<br />
小生はやっぱりメジロの顔が面白いのでその姿ばかり追っていた。</p>]]>
        
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    <title>時計の犯罪</title>
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    <published>2010-01-31T08:48:20Z</published>
    <updated>2011-09-03T03:31:15Z</updated>

    <summary>一昔前は大抵の家には柱時計があったものである。 1時間ごとにボーンボーンボーンと...</summary>
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        <![CDATA[<p>一昔前は大抵の家には柱時計があったものである。<br />
1時間ごとにボーンボーンボーンと律儀に鳴るあれである。</p>

<p>今ではずっとシンプルなものに様代わりしてしまったのではなかろうか。</p>

<p>そんな壁掛け時計をふっと見てみると、<br />
今まで止まっていた秒針があわてて動き出したように見えた。<br />
「ははあーん、さては今までサボっていたに違いない」<br />
そんなことを思いながら今度はじっと針を追ってみる。</p>

<p>刻々と時間が刻まれていく。<br />
間違いなく針は正確に動いている。</p>

<p>暫くして、<br />
知らん顔をしてよそ見をする振りをして<br />
いきなり時計の針を見たら、主人の見てないことを良い事にちゃっかり3秒程サボっていた秒針があわてて3秒分一度に動いたように見えた。</p>

<p>ただ残念なのは秒針の犯罪を現行犯で捕らえられなかった事である。<br />
つまり3秒分まとめて動いたものの目にしたのは最後の1秒目のところだった訳である。</p>

<p>そんな風な事をしながらも間違いなく時間は過ぎていく。<br />
時間をどう使おうと小生の勝手である。<br />
誰に文句を言われる筋合いもない。</p>

<p>とはいえ、時間は公平に永遠と流れるものではない。<br />
自分に与えられた時間は限りあるものである。<br />
実は寸秒をも惜しまなくてはならない。</p>

<p>けれども時々時間の犯す犯罪を盗み見たくなるのも人情である。<br />
ところが、どういう訳かやってはならない事をやってしまっているようで気持ちが悪い。</p>

<p>時の犯罪を解明したり、鏡映しの世界に入り込むことはやってはならないことのような気がするのである。</p>]]>
        
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    <title>溶けるのだから仕方ない</title>
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    <published>2010-01-30T13:43:00Z</published>
    <updated>2011-09-03T03:30:39Z</updated>

    <summary>うどん屋でうどんを食いながらのことである。 「ガムとチョコレートをいっしょに食べ...</summary>
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        <![CDATA[<p>うどん屋でうどんを食いながらのことである。</p>

<p>「ガムとチョコレートをいっしょに食べるとガムがドロドロに溶けてしまうんだよ」<br />
ヨードチンキ君が密かに発見したように言うと海の藻屑君が笑った。<br />
「そんな事小学校の遠足の時に知っていたよ。君は今までご存知なかったのかね」<br />
ヨードチンキ君は世間では常識のことだったのかと不思議がる。<br />
キュウリ魚君は冷静に意見を言う。<br />
「チョコレートの油分が犯人なのです」</p>

<p>それを聞いたキンカン坊主はクールミントガムを噛みながら今度は海老天うどんの海老天を頬張った。<br />
暫く口をもぐもぐさせて大声を出す。<br />
「やあ、これはものすごい海老天でガムが無くなった。どろどろに溶けている」</p>

<p>キュウリ魚君は冷たい目で坊主を睨みながら吐き捨てるように言った。<br />
「ミントと海老天喰って美味いのですか。本当にあなたはお坊さんなのですか。馬鹿にも程がある」</p>

<p>そんなキュウリ魚君を尻目にヨードチンキ君も坊主からガムを拝借してやっぱり海老天を頬張っている。<br />
とうとう、海の藻屑君までも同じ事をやり始めた。</p>

<p>うどん屋の親父はそんな風に騒動する我々に不機嫌な顔をしている。</p>

<p>うどん屋に一人で入ってガムを食いながら海老天を食うと危険人物である。<br />
ところが大の大人が寄って集って同じ事をやらかすと笑いが起こる。<br />
おかしなものである。</p>

<p>ただ一人うどん屋の親父が迷惑この上ないことだけは現実なのである。</p>]]>
        
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